5月の潜水生活(大げさ)は、6月になると動き出した世間に巻き取られて、なんの名残もなくそれまでの日常然とした雰囲気の日々が帰ってきた。
自宅に長くいた期間に、変わったことといえば、自分の体感で、
この間、自分の歩調を取り戻した感じがした。
<歩調>とは、同じ人でも状況や体調や気分によって揺らいでいるものだけど、
自分の歩調というのは、いつも自由に保っていられるものでもなかったりするなぁと思う。
「歩」という漢字を、つい先日踊った。
「歩」は「止」と「少」が上下にくっついてできているように見える。
<止まる・少し>で、<歩>になる。
動いているのがベースで、少し止まるようにすると、歩ける。っていうようにも読める。
妙だな、いいな、と思う。
私にとってのダンスの再開は、
いつもお世話になっているUrBANGUILDにて、
「FOuR DANCERS with Covid19 #2」への出演となりました。
毎度、機会をいただけてありがたいです。
photo manami tanaka
エントランスの記念写真を自分のスマホで。
初日にダンスのパフォーマンスがあり、その24時間後の翌日には前日のパフォーマンスの上映会があるこのシリーズ。
上映される映像は、定点カメラで撮影しただけではなく、編集もされている。
時勢を受けて、パフォーマンスは席数をとても少なく設定して行われたこともあり、
上映会とセットの2日間の開催として公開された。
つい24時間前に行われたパフォーマンスを、同じ舞台上に投影した映像で見る。
壁に映る映像と、反射で見える床。
映像に映っているこの場所のこの床で踊っているダンサーは、生身の床の上にはおらず、映像の光が反射するのみで。実際の舞台上には、気配があるようにも逆に空洞にも見えた。
...そんな風に思えたのは実は#1の上映会のことで、自分の踊った映像の上映では内心ドキドキあわあわしちゃって、まぁ冷静にはいられず、、
せっかく編集してもらった映像も、見方がかなり私的によっていたりして、上映後のトークは散々なものだった。。
せめてあと少し大きな器になりたいもんだと、トークについてはちょっと反省しています。
上演したダンスは、今回もソロ。
「書き文字を辿り踊る」シリーズ。
これまでと少し違ったのは、<語り>と<書き文字>を分離させたこと。
そして、身体のみでみせる踊りから、もう少し色んなものと踊ることをしようとしたこと。
書かれた文字や言葉から想像する<語り>は、身振りなど含めた演技の踊りとなり、
<書き文字>のストロークやリズムや余白の造形など、抽象的な要素はそのまま、
フィジカルな踊りとして残すことになった。
ある時期、日舞の藤娘を学ばせていただいたことがあり...と言っても、4曲目はまぁ踊れなかったわけだけど...その時に知った日舞の大胆な構成や振付に対する衝撃が、ここにきて表出してきた感もある。
「ダンサーを記録する」プロジェクトで、5人のダンサーの言葉と向き合 う時間を濃密に過ごした。その経験が、2者を分離させても大丈夫、と思わせてくれたのも大きかった。
with Covid19 バージョンは、6月18-19日の#1と、6月21-22日の#2がありまして、なか1日を含んでこの5日間、ダンスを映像撮影・編集しながら自作の上演までも取り組んでいた西純之介さん、写真撮影の田中愛美さんの2者による熱心な仕事も並走していました。
夜遅めにイベントを終えて、次の日の夕方には上演。鮮度が、仕事の速度と集中がすごいなと...深謝です。
8月末ころまでの公開予定とのこと。
せっかくなのでぜひぜひ、ご覧くださいね。
愛美さんの切り取ってくださった写真から伝う、余韻や余白が当時のダンスを思わせてくれます。温度感というか空気のタッチというか、そういうのはライブならではだと思うんだけど、舞台では生まれては変化していく。写真はずっと持っててくれるのかな?見る人が変わっていってもまた戻してくれるのかな?と思わされるような、素敵なお写真です。
西さんの映像は上映会でのスペシャルがあり、webでは1つの視点からの遠景のみを、静観した距離感の映像でダンスをみていただけます。
今回、様々な視点から記録映像撮影へのアプローチをされていました。
私は、<編集された映像→ VIDでの会場を見回せる映像→ webでご覧いただける遠め視点からの1ショットの映像> と、日を置いて拝見させていただいていて。生の舞台の時間から少しずつ、3つのステップを踏みながら遠ざかり、視界のフレームに入るものたちの見え方の変わるさまに、幾たびも出会うみたいでした。夏のかげろうみたいな湿気も匂いもあるような熱気から、冬のよく晴れて何もかもよく見える乾いた晴れになったな。かえりみるものがあるというのは、日々変わってしまえる私たちにとってとても必要かもしれませんね。
そして、この場を作ってくださったブッキングのRyotaroさんとUrBANGUILD、ご自身の上演ののち#2では照明に入ってくださった今村達紀さんにも感謝。
同じ日にダンスを踊った、大先輩のヤザキタケシさん、ダンサーの斉藤綾子さん、仙波晃典さんにも、この日を共に踊らせていただいて光栄でした。ありがとうございます。
お越しくださったみなさまにも、本当にありがとうございます。
またこうやってダンスの現場に集まれますように。
上演時のお写真をいただいたので、ここのブログでは自分の踊りのところを数枚、
載せさせていただきます。
photo manami tanaka
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日程
2020/6/21 performance
2020/6/22 上映会
場所
UrBANGUILD
作品名
春の嵐に家は揺れ
上演時間
約25min
音楽
・Lullaby / Cooper Cannell
・C major Prelude / Bach
・雨音〜音読「はるのあらし」/ 自作
参考資料
・種田山頭火 自由律俳句より以下2句より抜粋した7文字を踊る
「分け入っても分け入っても青い山」(分入/青以山)
「歩きつづける彼岸花咲きつづける」(歩/咲)
・自作/背中す春 詩 音読音源・演技の踊りのモチーフ
「はるのあらし」
薄茶のお腹まあるい春の鳥 されど部屋篭り
はたり、足をとめたかめむし この娘、諸行を棚下ろす
春風に波乗り飛んでた鳶の子 自粛休暇に緩む目元に足腰に
知らず凍った頬 ミモザの懐柔 つまらんので晩酌を始める踊る
散る桜のフロアダンス一人見る 病棟の祖父と会えない 常の不孝を恥じる
夜道の木蓮 肉厚な花弁 幼い頃の遊び愉しむ平日夜通し
のそりと都市遊覧は夜のパトカー 少しずつ土に溶ける夢を見る
花水木青空のもと会いましょう 目はすぐ覚める
春の嵐に家は揺れ
梅、
木蓮、
アカシア、
桜、
桃、
石楠花、
花水木、
やがて向日葵、
健やかに居てよ
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