月一回の投稿をなんとか保持していましたが、あえなく、9月はそのまま過ぎ行きました。。
すっかり肌寒くて、羽毛布団を取り出してしまった、もう10月末日も近いですね。
同年のダンサーであり、自分がダンスを始めた頃からの知り合いだけど一度も現場を共にしていなかった、
菊池航と私とで始めた企画の1回目「SAILING−1」を、8月に終え、その後も実は、滞在制作中に行ったインタビュー(会場として大変お世話になった四貫島PORTの管理人であり音楽家の米子匡司さんに、PORTについてや場所についてお話をうかがった)を文字おこししたり、いや、これは注釈もつけて読みやすくしよう、でもこれどの立場で注釈つけられるんだ…等などと、
秋の公演シーズンを目前に、遅々とした進行ではありますが、少しずつ進めていました。
実は、SAILINGの公式ウェブも、ひそやかにオープンさせたのですが、、インタビューページはじめ内容充実してきましたら、
あらためてお知らせさせて頂きます。
ここでもう少し、SAILINGについてお話を。。
SAILINGは、もともと、どうしたらこの先、ダンスしながら生活していけるのかを、話しはじめたところから立ち上がった企画でした。これは先人方が既に耕してこられた土壌で活動できている私たちだから余計に思うのかもしれませんが、それでもまだ、芸術に携わる人が生きていくには厳しい、経済状況や社会状況があると感じていて。何かイレギュラーなことが起きたとき、たとえば、病気や介護や出産育児など、生きていたら出会うかもしれない悲喜こもごも様々のことが起きたときに、私たちはダンス、続けていけるんだろうか。ダンサーとして作家として続けていくには、自分らは何をしたらいいのか。
結局、2人で話して2人で始められる事としては、自分たちが舞台で見たい身体や見たいと思えるような作品を、まずは観客と共有することからしか始められないな、ということでした。
芸術と関わることが面白いと思ってもらうこと、鑑賞が面白いと思ってもらうこと、自分たちが面白いと思うことを作れるかということが、まずもって大事。という、いかにも当たり前な、普通なことに考え至った。
じゃあ、何をつくるの? というところで、共通のキーとして上がって来たのが「場所性」でした。
場所に寄って変容する身体(場所というのは環境とも言い換えられるかもしれませんが、私たちは場所ということにした)を、踊ることを企画として追い求めます。
正直に言って、このとき何を話したか具体的なあれこれは記憶の彼方なのですが、、、会話の内容は確実に作品には浸透してると思います。
こういうことが場所性ってことから生まれた?どこが場所性なんだ?などなど、作品を見て何かを思って頂けたなら、良かったらぜひ、誰か他の人にも、例えば私たちにも、そのお話をお聞かせいただけると、この上ない幸せです。
SAILING-1は、大阪市此花区四貫島にあるPORTという複合建物の4Fにある、イベントスペースでの上演でした。
元は魚屋さんで、イベントスペースとなっている部屋はリビングルームのような感じ。
すぐ近くにキッチンもお風呂も洗濯機置き場もある、生活空間だったころの面影を多分に残した家っぽさのある場所。
商店街のアーケードの屋根が見られて、近くの川は潮の香りがするのでした。
川だけど殆ど海の肌触り!とか、流れ着いた人工物の風情とか、川沿いの思いがけない野生っぽさに静かに衝撃。
なんとなく、匂いや音や肌触り、というのは感覚し方が近いところにあるな、と。
今回、2作品を同時に創作しており、1つ目は、作・菊池航/出演・川瀬亜衣の「みを-つくし」、2つ目は、作・川瀬亜衣/出演・菊池航,藤原美加の「握るられる」でした。
わたしの作った「握るられる」は、ある程度の要素は一通り、滞在前に触れていて、現場入りしてからの滞在中は、ずっとチューニングしていたともいえる。
もっとも象徴的な部分の稽古は、しつこくしつこく、本番を向かえてもなおやっていましたが。。。
今回はじめて、自分のつくる作品に自分が出ない、ということをしたので、音や光など、そういったところをもう一歩造作できたことはとても大きかった。
会場に立った出演者たちの姿を見て微調整したり、環境音やSEを混ぜた音を舞台空間にどう入り込ませるのがいいのかであるとか、数限られた照明器具と自然光の噛み合わせをどうしたいか等など、実寸の現場で選択を繰り返す中で、層が厚く作られていく面白さ、まだまだできるという難しさを感じていました。
そして、、次回このくらいこみいったことをするなら、オペレーションは自分でやったらダメ、ということも学んだ。。
人間の身体を通した場所性を、今度はもっとピンポイントにあぶり出せるように、次やってみたい実験がふつふつと。
書道ももう一度、いちからやりなおしてみたいし。
やりたいこと、やるべきこと、たくさんありすぎて、しあわせものです。